概要
- マイクロマガジン社
- 佐藤正彦・諸友大 著
- 980円+税
- 2019年4月13日 初版
どんな本か
地域批評シリーズの35番目。
町田市の現在の様子について紹介・解説をしている。
町田市の地域的な特徴や歴史、開発の経緯などが詳しく書かれており、体感でしか分からなかった発展の事情などを知ることができる。その地域に住んでいても分からないことは多いので、結構興味深い内容が分かる。
「町田市」と言っているが、発展を説明する関係上、相模原やら海老名やら周囲の地域についても触れている。
俺は「これでいいのか」シリーズの相模原も持っているが、『ケンミンショー』と同じで地域の「あるある」を楽しむことができる。
書き方も話し言葉のように書かれていて固い書き方ではないので、漫画を読むようにさらさらと読むことができる。
新書もそうだが、個人的にはこういう本は活字の漫画だと思って読んでいる。
どんな人が読むと良いか
- 町田市に住んだことがある人
- 「町田圏(武相圏)」に住んだことがある人
- 町田の治安が悪いと思っている人
- 町田を神奈川とディスる人
- 東急に全幅の信頼を置いている人
基本的に町田市の解説本なので、地域のことに詳しい人でないと楽しさを十分に味わうことができない。「へぇ~、町田ってそんなところなんだねぇ~」と知りたい人も楽しむことはできるが、このシリーズは地域のあるあるとか「分かる~」を楽しむ側面が強いので、読むなら自分の地域の本が良い。
町田圏に住んでいる人とはざっくり言うと、「休日にちょっとお買い物しようと思う時に町田駅を選ぶ人」のこと。今、画面の前で「あ、私だ」と思った人は、多分この本を楽しめる。
「町田って治安悪いんだろw」「町田?あぁ神奈川県だろw?」と町田について適当な知識で煽っていた人も、この本を読んで町田についてちゃんと知ってほしい。
因みに結論から言うと、町田の治安は悪い。
感想
町田についてはよく知っている人間なので、読むたびに「わかるわー」という気持ちが出てくる。
大体イメージ通りで話が進んでいくのだが、団地や病院事情など意外と知らないことも多く出てきた。
というか、そこまでの地域事情はそこに住んでいないと流石に分からんよね。
一番納得感が強かったのは、風俗街についての歴史。
昔の町田にはいかがわしい店がすごく多いイメージだったんだが、俺が中学生くらいの時にパタッとそういう店が無くなったし、一気に治安が良くなった。
ピンクな看板が無くなったし、明らかに薬とか売ってるだろうという黒人も見なくなった。
なので町田も治安が良くなったなと思っていたが、ホテルの前には女の人が立っている。
本でも取り上げられているのだが、2004~2005年くらいに町田あたりの違法営業している風俗店が一斉検挙にあった。で、その後は立ちんぼが増えたと。
俺はまさに本に書かれている内容のことを目の当たりにしてきたわけだ。
ここまでくると、最早思い出を書いてもらっている気分になる。
町田は治安が悪いって話だが、本によると、歌舞伎町2丁目と同じレベルで治安が悪いらしい。
率直にやばいな。
以前、授業で「地域を良くするにはどうしたらいいか」という調べ学習で、ある子が町田駅前の交通事故件数が減っていることに気が付いたんだよね。なので「町田駅前は何か対策しているのかもねー、調べてごらん」と促してみた。
調べた結果、町田駅前は相模原市との境になるわけだが、事故がよく起きるポイントの警察の管轄が町田から相模原になっていただけだった。町田、頑張れよ。
あと町田と言えば南町田も当然含まれるが、南町田グランベリーパークがとうとう開かれたわけだ。
あれは東急の都市開発の一環らしい。分かってたけど。
とはいえ、町田市の協力も得ないとできないから、一応共同での都市開発になるらしいけど、歴史を振り返っても町田市は都市計画が下手だからなぁ。
東急のおかげで、町田の南の方は異文化になっているわけだ。
最近の町田の事情で外せないのが、橋本のリニア誘致について。
橋本に来るから町田はどうなるかなーという内容は結構多く書いてあった。
橋本のあたりは、橋本が発展してきたこともあり、町田圏から少し離れているところが出ている。
相模原市が橋本を重点化するのは分かっているが、橋本独自を発展させるのか、相模大野ー町田ー橋本とラインを繋いで発展させるのかはちょっと読めないな。
でも相模原市も都市計画は上手くないので、そんなラインを組んで発展なんてのはできるかな…?
これは数年後にどうなるかお楽しみだね。
総評
町田圏に住んでいる人なら、読んでおいて損は無い。
多少分厚いが、書きぶりが柔らかいのですぐに読み終わることができる。
自分が興味の無い地域のところは飛ばせばいいし、あっという間に読める。
なんなら買って、そのままカフェで読み切れるかも。
そして町田はこれからどうなるのか。乞うご期待。