【今週のお題】人に成るのが成人なら、俺はまだ成人に値しない気がする。

今週のお題「二十歳」

 

今年で20代も最後になる。じゃあ二十歳になった頃はどんなこと考えてただろうか。今になっては、上手く思い出せない。あの頃、29歳というのは20代という若さもありながら、それでいて大人の響きがした。今の自分が当時の自分が思い描いた姿に近づいているかと言えば、まるでそんなこともない。でも20代の道に納得はしている。

 

20歳の成人式の日は何となく覚えている。最寄りの駅のホールで成人の集いがあるから来ましょうというお手紙が来たので行くことにした。一人で行くのはなんだが気恥ずかしいが、幸い俺には地元に友人が一人いたので、一緒に行くことにした。

実際に行ってみると、ホールには多くの新成人がいて、「もしかして小学校の頃の知り合いとかいるかな?」などと思って座っていたのを覚えている。俺自身は見付けられなかったが、友人は何人か見付けたようだ。8年以上会っていないのだから、仕方ないか。

 

式が始まると「成人式実行委員」なる新成人が何人も現れた。壇上で司会をし、式を進めていく。彼らはいつ実行委員に任命されたのか。なりたかったわけではないが、自分のところには通知など全く来なかったし、どのタイミングでこういった場の仕事が回ってくるのか、非常に不思議であった。今になると、自治体を運営しているグループに入っている子がやるのだろうなというのが推測できる。

何も分からなかった当時の私が学んだのは、「社会というのは何か自分が知らないところで、色々なことが進んでいるらしい」ということだった。

 

成人式と言うが、新成人にとって成人式はその日のオマケのような気がする。多くの新成人にとって、成人式は「振袖を着て、同窓会に行く日」だ。振袖のままではないかもしれないが、旧交を大々的に深めるのがこの日だろう。

ところが残念ながら、俺はこの2つにどちらも該当しなかった。男だが袴は着ないし、同窓会も企画されていない。

 

成人式は地元で行われる関係で、中学の同窓会が多いと聞いたことがある。俺は中学受験した関係で、地元の中学には全く無縁の生活を送っていた。じゃあ高校のクラスで集まればと思うかもしれないが、高校のクラスのメンバーは素晴らしき個人主義者の集まりで、仲はほどほど良かったがクラス会を開くような関係ではなかった。

 

が、ここで高校の仲の良いメンバーで飲み会を開くことが決まる。当日に決まったのか前日にっ決まったのかはよく覚えていないが、事前に合わせて―という感じではなかった気がする。そのあたりのゆるさが仲の良いグループでいられる所以でもあるだろう。

 

かくして集まったメンバーで成人の集いを行う。良かった。これで立派な新成人の仲間だ。

ようやく合法となった飲み会を楽しく行うことになった。法を犯さず飲む酒は旨い。

そんなこんなで話していると一人がポツリとこんなことを言った。

 

「そういえばウチの高校でも同窓会が行われているとの噂が」

 

何人もいて全員に連絡が来ていないのだから、おそらく噂だろう。しかしもしかしたらやっているのかも。

疑問はぬぐえず、真相は闇の中である。