職業柄だから仕方ないね。
とおるです。
先日、学校に税理士の人が出前授業に来た。
税金を収めるのはなんのためなのか、子どもたちに話をしてくれるが、内容がイマイチ分かりにくい。私が分かりにくいと思うくらいなので、子供たちももっと分からなかったようで、聞いている時もどこか集中していない様子であった。
分かりにくい話なので仕方ないと思いつつ、子供達を失礼な態度のままにしておくわけにはいかないので、注意しなければならないのが辛いところだ。
その後、税金についてちょっとしたゲームをやることになったが、やり始めると子供達のやっていることが意図と少しズレている。
というのも、このクラスの子供達は理解力がそんなに高い方ではない。話の流れでゲームのルール説明をされても、残念ながら理解できない。「今からゲームのルール説明をするからよく聞いてね。」くらい言わないと分からないのだ。
そのため私が各班に回り、やることをアドバイスしてあげないといけない。
そんなこんなで授業を終えたが、後で他のクラスの様子を聞いても似たような感じであったらしい。例年行われている出前授業なので、ベテランの先生に聞いてみたら
「1人か2人くらいは上手な人がいるが、他の人は大体そんな感じ」ということだった。
実は似たような出前授業に警察の安全教室があり、不審者対応や薬物などの話をしに来てくれるのだが、こちらも話が分かりにくい。
しかし税理士も警察も話すのが職業ではないから、ある意味当然なのかなとも思う。教師は話しのプロなので、誰でもそれなりの説明ができる。それに慣れすぎているのだ。
せっかくなので出前授業の様子を聞きながら、自分が何に気をつけているのかを考えてみた
何を話すか最初に言う
何かの説明をする時は、まず自分が何について話すか最初に言ってしまう。プレゼンなどでは、最初に「今日話すこと」といったスライドが出てくることが多いが、それと同じである。
ポイントがいくつかある時は、「ポイントは〇つあります。1つ目は…」という感じで話す。
話の全体像が分からないと、聞いている側も何を聞くべきなのか分からない。
何なら小学生には「ここが大切だから、よく聞いていてね」なんて言うこともある。
知識の前提を揃える
全体に対して説明する時に、説明に必要な知識を確認する必要がある。
平行四辺形の面積の公式を学習する際に、「平行四辺形」がどのような図形で、「面積」とはどの部分のことで、「公式」とは何なのかを知っていないといけない。
個人に説明するときには、対話などの中で自然と分かるが、全体を相手にすると全員がどのくらいの知識を持っているかの把握ができない。そのため『「平行四辺形」「面積」「公式」とは、こういうものだよね』という説明が必要になる。
今回の場合は小学生相手に話すので、こちらが思っている以上に税金に対する知識が乏しい。
「所得税」という言葉が説明の中でするっと出てきたが、『所得』という概念はクラスの全員が理解してはいないだろう。なので「『所得』って稼いだお金のことね」と補足を入れた。
説明は短く、そらさない
まず説明は短く、無駄な情報を省く。「えー」とか「あー」とか間合いの言葉も省く。それだけで説明の内容が頭に入らなくなる。
そして話は途中で脱線しない。補足情報みたいなのを入れるときは、途中ではなく最後に入れる。
例えば『サッカー』というスポーツを説明する際に、
「サッカーっていうのは、えーと、2つのチームでやるんだけど、1チーム11人でその中にFWとMFとDF、GKがいて、その人たちがボールを蹴って、あー、フィールドの端にそれぞれゴールがあるんだけど、フィールドは縦が100mmで横が60mくらいね。あ、アメフトって知ってる?あれはもともとサッカーから派生したスポーツだから、フィールドの大きさもほとんど同じなんだよ。で、サッカーは、そのゴールにシュートして得点を入れるスポーツだよ」
と言われたら、本当に分かりにくい。
短くまとめるなら
「サッカーは、2つのチームがボールを蹴りあって、相手のゴールにシュートするスポーツだよ。」
だけでいい。
・1チーム11人で、FW・MF・DF・GKがいる
・フィールドの大きさ
・アメフトのこと
などは後で話せばいい。
このように言われれば当たり前なんだけど、説明し慣れていない人は、どうもこういう説明をしがちである。「教師は話しすぎる」とよく言われるが、説明の基本的な手順は守ることが多い。
あと例外的なことは基本的な説明に入れない。基本がわかっていない人に、例外を挟んで説明するとわけわからなくなる。
研修とかで講師にならなくちゃいけない人もいると思うので、参考までに。