学級目標を作るのが嫌いだ。
なぜならすぐに形骸化してしまうからだ。
目標を作ったはいいが、何も意味をなさない。
もちろんちゃんと運用しない自分が悪いのだが、とにかく形骸化しがちなので学級目標を作るのは嫌いだ。
ある時には学級目標を作らなかったこともあったが、全く問題なく運営できたのでやはり形骸化するくらいなら必要無いのだろう。
必要性は?
実際に上手い運用ができたことが無いので、学級目標の必要性自体がよく分からない。
強いて言うならば、前述の通り作らなくても普通に運営できた経験があるので、必要かと言われたら答えは「No」なのだろう。
ずっとそのような感じで学級経営をしてきたが、最近少し思いなおすところが出てきた。
「学級集団」という言葉がある通り、クラスは集団で動く。
学習自体は個で成り立つので、究極的には集団である必要も無いのだが、「集団」を形成することで個の学習効率も良くなり、全体としてのレベルを引き上げることが分かった。
要はクラス全員で協力すると、全体的に上手くいくということだ。
ならば学級経営において「集団作り」が大切になってくることは確かだろう。
では集団を形成するにはどうするか。
集団内での信頼関係づくりなどもそうだが、個人が集団を意識するには、集団としての目標をもたせることが手っ取り早い。
となれば学級目標を作る必要が出てくる。
自分の中でぐるりと論理が一巡してきたが、集団作りのために学級目標を作る必要がありそうだ。
しかし目標は往々にして形骸化する。
それならば形骸化しないように、思いっきりシステマティックに取り組むことにする。
なぜ形骸化するのか
学級目標はなぜ形骸化するのか。
それは実際に運用しようとしないからだ。
目標を作ったはいいが、目標の振り返りをしない。作りっぱなし。
そのために形骸化していき、学級目標の模造紙はいつしか壁に溶け込んだ模様になる。
理由のもう一つは、目標が曖昧過ぎるからだ。
だいたい「みんなで仲良く、なんでも全力で取り組む、元気なクラス」のような文言に落ち着いているケースを多く見るが、これは目標が曖昧過ぎる。
このような目標は何ら役に立たない。
内容は曖昧だし、振り返りもしない。
それは形骸化して当たり前だろう。
ならばこの逆を行けばいい。
概要
形骸化しない学級目標を作るために、目標を曖昧にせず、常に振り返れるようなシステムにする必要がある。
ということで、今年は試験的に以下のように取り組んでみた。
- 「どういうクラスにしたいか」「良いクラスとはどのようなクラスか」と子供に投げかけ、いくつか条件(目標)をピックアップする。目標を8個に絞る。
- 目標一つ一つに対して、その目標はどのような行動で達成できるかを更に集める。(マンダラチャート化)
- 8つの目標についてアンケートを取り、現状の確認と評価をする。
- 現状をもとに、足りない部分を補うべく、日直が毎日目標を立てる。
- その日の最後に振り返りをして達成できていたら、マンダラチャートの該当部分にシールを貼る。
- 頃合いを見て、再びアンケートを取り、8つの目標が達成しているか評価する。
- 以下、4~6を繰り返す。
各項の詳細
1 目標のピックアップ
クラス目標を作るので、まず目標を集める。
子供に「どのようなクラスにしたいか」「良いクラスとはどのようなクラスか」と投げかけておき、自分の理想のクラスの状態について考えさせる。
その後付箋を用い、目標にしたい文言を全体から集めて、KJ法で分類を行う。
この時点で概ね6~8種類くらいの目標に分類する。
深ーく掘り下げなくても、「みんな仲が良い」とか「集中して勉強できる」とかそんな文言に落ち着いていく。
クラスの実態次第だが、あまりまとめ過ぎない方がいい。
全員で目標となる文言を決めても良かったが、わりと煩雑だったので、分類した時点で分類の内容に一番近い付箋の文言を取り入れた。
2 マンダラチャート化
目標が決まったが「男女仲が良い」など曖昧なままなので、これを達成する行動基準を考える。
つまりマンダラチャート化する。
これもたくさん集めるのが大変なので、クラスに目標を掲示しておき、目標を達成する行動基準を付箋で集める。
授業時間は少し使ったが、それ以外は1週間程度目標だけを掲示しておき、思いついたら付箋に書いて貼り付けるという方式をとった。
その後、教師がある程度まとめてクラス全員で検証し、マンダラチャートを完成させた。
3 目標評価アンケート
次に事前のアンケートを行った。
8つの目標(今回のクラスの場合)に対して、現状どの程度達成されていると思うか、0~5の6段階でアンケートを取った。
0が全く達成できていないで、5がバッチリOKという感じだ。
アンケートを集計し、8つの目標について平均評価を出し、レーダーチャートにした。
レーダーチャートにすると、現在のクラスの状態が視覚化されるので、課題が明確になる。
ウチのクラスの場合は学習系の目標が低かったので、学習に対して課題感があることが分かった。
子供としても現状が視覚化され課題がハッキリするとやる気が出るようで、授業態度が以前よりも良くなった。すげー。
4 毎日目標
アンケートを取るだけでも意識が変わることは分かったが、今回はストイックかつシステマティックに学級目標を運用したかったので、毎日目標を立てることにした。
翌日の日直を帰りに残し、翌日の目標を立てさせる。
目標は当日の朝の会で発表する。(黒板には既に掲示されている)
後述するが、マンダラチャートの達成した部分にはシールを貼っている。
そのためアンケートのレーダーチャートの様子とマンダラチャートのシールの状態、それから最近のクラスの様子を見て、翌日の目標を考える。
マンダラチャートの文言をそのまま使うこともあったし、少し変えて運用しやすい言葉にしていることもあった。
1学期の段階だと学習系に課題が見られたので、「授業前に準備をする」とか「姿勢をよくして話を聞く」とか、そういう目標が多かった。
しかし子供同士でいさかいがあった日の翌日には「人に優しく声をかける」とか、クラスの実際の様子に基づいて目標が立てられていたので、機械的でなく実態に即して運用されていたように思えた。
2学期以降は毎日の目標を五七五にする予定だ。
なんでって?面白いから。
5 毎日振り返り
毎日目標は帰りの会の時に、振り返りを行う。
その日の目標を「よくできた」「できた」「もう少し」の3段階で挙手をさせ、クラス全員で評価する。
日直はその日の目標について自分なりの評価と理由を述べる。
最後に教員が「とてもよくできた(花丸)」「よくできた(二重丸)」「できた(丸)」「もう少し(△)」で評価と講評をする。
全体の評価に合わせて、掲示しているマンダラチャートの達成した部分にシールをつけていく。
同じ目標の部分でも構わないと話してはいるが、現状はシールの部分は被っていない。
2学期からも続けていくと、日数的にどこかしら被ると思う。
6 再評価アンケート
1学期の最後にまたアンケートを行い、レーダーを作る予定。
というのも実践の最中なので、まだ1学期終わりのアンケートは実施していない。
前回のレーダーと比較して、自分たちが伸びた部分、悪くなった部分、変わらない部分を見つめなおすようにする。
運用の実際と終わりに
今年の学級目標はこんな感じで運用している。
現在のところ概ね上手く進んでいるが、新しいレーダーを出した時に子供がどう反応するかが見物だ。
レーダーの手法だが、確か理想教育財団?の講演を聞きに行った時にやっていた手法で、「毎日目標」と「マンダラチャート」はやったことがあったので、組み合わせて思いっきりシステマティックにしてみた。
今後のどのようになっていくかは分からない。
もしかしたら十分に達成した目標は殿堂入り的な感じになるかもしれないし。
まだまだ研究途中である。