【教員Excel】とりあえずクラス名簿を作ろう【2021/5/6版】

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1 はじめに

先日、らいざ先生の筋トレ企画に仲間入りをした。吉野はそこそこ筋肉もあるので、筋トレはわりと好きだ。ほいほい付いていき、日々筋トレをしている。

さて、らいざ先生を見ていると、Twitterを使い、自分の趣味(筋トレ)を周りに発信している。Twitterの教員界隈にはそういった発信を行っている人が多くいる。

吉野はTwitterに特に有意義さを求めていなかったが、折角ならばもう少し有効活用してみたい。そこで何か自分でも発信してみようと思った。

 

では吉野が教員向けに何か発信できるかといえば、一番はExcelについてだろう。教員界隈ではよく、「Excel使えない教員」が槍玉にあげられている一方で、意外に基本的な使い方を知らない人も多い。

なので、そんな初学者に向けて、教員が使えそうなExcelの知識について発信していくことにする。

 

2 目標

折角発信するなら、らいざ先生の筋トレのように周りの技能が高まると嬉しい。

そのため、この発信の目標は以下のようにする。

  • Twitterの教員界隈の人がExcelと仲良くなり、ある程度扱えるようになる。
  • 発信を続けて、吉野自身のExcelの技能を高める。

 

因みに先々には個々のExcelシートについて、具体的なアドバイスができれば良いかなーと思っている。

 

3 進め方

具体性の無いことを発信しても有意義じゃないし、その場限りの知識になってしまう。

そのため今回は何か実際に現場で使えそうなものを作成しながら、その中の技術を発信していく形にする。

現在、計画をしている作成物はこんな感じ。

  • クラス名簿
  • 少人数名簿
  • 座席表
  • 自動生成する計算プリント
  • 所見や成績を管理する名簿
  • 連続で印刷できるシート(VBA

後は思いついたら…

教員のExcelのほとんどは名簿関係でしょ(偏見)

VBAについては詳しくないので自分も結構勉強しないといけない。てか、そんな深く教えられないと思う。

 

4 クラス名簿を作る

 1 児童氏名の入力シートを作る

基本情報シートを作る

 

とりあえず今後出力してほしい基本情報を打ち込むシートを作ります。

今回は名簿なので、出力情報は以下のようにしました。

  • 学校名 年度 クラス 組 担任名
  • 児童・生徒名 ふりがな 
  • 男女

これらを入力できるシートを作り、情報を入力します。

男女に関しては、男女別の名簿を作る時に必要なのでいれました。

保健書類とかでなんやかんやあると便利なんですよねぇ。

 

シート作成時のコツとして、今後入力しない部分には色を着けると良いです。

シートを見た時に、「あ、白い部分に入力すれば良いんだな」とすぐに分かります。

 

名前順にする方法

 

他の名簿ファイルからコピペした時点で、おおむね名前順になっていると思います。

ですが、たまに名前順になっていないものもあるので、順番を揃えましょう。

 

手順としてはツイートの通りですが、少し加えます。

  1. 並び替える範囲を選択する
  2. 上の「データ」タブを選んで、その中の「並び替え」を選択する
  3. 出てきたボックスの右上に「先頭行をデータの見出しとして使用する」があるので、チェックを外す。
  4. 「最優先されるキー」を「ふりがな」を入力している列にする(今回の場合は列F)
  5. 順序を「昇順」にする
  6. OKで実行

 

先程の3番の手順を飛ばすと、「虎杖悠仁」を見出しとして認識します。

見出しとはいわゆる「名前」「ふりがな」と書いてある部分のことです。

表において見出しが移動すると大変です。

チェックをしたままだと「虎杖悠仁」が見出しとみなされるので、一番上に固定されてしまいます。

そのためチェックを外します。

 

また「最優先されるキー」ですが、漢字の名前列(今回は列E)でも基本は大丈夫だと思います。

ただ漢字だとたまーに別の読みで判定されることがあります。

例えば「麻倉(あさくら)」なのに「麻倉(まくら)」のように。

こうなると順番が変わってしまうので、ふりがな列を最優先にした方が無難です。

※漢字の並べ替えのもう少し細かい設定

漢字並べ替えは、その漢字の「ふりがな」(入力した文字)に依存します。

例えば「夜神月(やがみらいと)」と「夜凪景(よなぎけい)」はどちらも「夜」という漢字から始まります。

ただし入力の時は「夜神月(よるかみつき)」と「夜凪景(やなぎけい)」で変換しています。

この状態で漢字列をもとに並べ替えをすると、入力した文字の並びのために「夜凪景(やなぎけい)」が先に来ます。

「ホーム」タブにある「フォント」から、「ふりがな」の編集はできますが、まぁ面倒なため、ふりがな列を作って、そこを基準に並べ替えする方が楽です。

 

最後に今回は「昇順」でしたが、逆にしたいときは「降順」です。

名前順でそんな時あるかな?

 

2 男女を入力しよう

プルダウンの方法(直接入力)

 

今時だと名簿は男女混合が普通。

しかし身体計測などの保健関係や運動会での競技のために、男女別の名簿を作る時はまだある。

そのために基本情報に男女もあらかじめ入れておくと便利。

 

男女の2通りしかないしコピペの方が楽なんだけど、今回は練習も兼ねているので、プルダウンリストを使ってみる。

 

やり方は上記のツイートの通り。

  1. リストにしたい場所を選択する。
  2. 「データ」タブから「データの入力規則」を選択する(ここが一番見付けにくい)
  3. 入力値の値を「すべての値」から「リスト」にする。
  4. リストの中身の「男,女」を入力する。

4番のリストの中身については、「,」(カンマ)で区切ることでいくらでも増やせる。

「男,女,犬,猫」のように。

 

プルダウンリストを作りたいなーと思った時に、大体思い出せないのが2番のステップ。

よく使う割に地味なところにあるので、これは頑張って覚える。

忘れたら、「エクセル リスト 作り方」とかでググる

 

プルダウンリストの参照の仕方

 

元々リスト候補がどこかにあるとか、選択肢が多すぎて直接入力だとダルイとかそういう時は、リストの中身を参照してくる。

プルダウンリストの作り方の4番のステップで「男,女」と直接入力しているが、エクセル内のどこかを参照することで、それをリストの候補にすることができる。

 

これの良いところは参照した場所を変更すると、リスト候補も変更内容が反映されること。

例えばクラブ名簿を作る時に、クラブ一覧表からリストを参照したとする。

前年度は「野球クラブ」があったが、今年度は「外遊びクラブ」に変わったという場合、クラブ一覧表の「野球クラブ」を「外遊びクラブ」に変更すれば良い。直接入力だと、いちいち「データの入力規則」を開かないといけないが、一括で済む。

 

プルダウンリストの良いところ

最初に書いた通り、今回のような時はリストを使わず手入力しても労力は変わらない。

ただリストを使う良さとしては、こちらが意図した通りの入力しかできなくなるということ。

 

例えば児童の所属クラブを入力してもらう時に、「手芸・料理クラブ」があるとする。

入力の際に、ある先生は「手芸・料理」、別の先生は「手芸・料理クラブ」、また別の先生は「手芸料理」などと、入力値がバラバラになるケースがある

入力値がバラバラだと、後で別の所でクラブ名を参照する時に正しく参照できなくなる。

 

これに対し、リストを使うと「手芸・料理」以外受け付けなくなるので、入力値を統一することができる。

リストを使う良さは、そういう入力の幅を制限することで入力値を統一すること

 

3 縦に一列に名前を表示する

新しいシートの作り方と名前や色の変更

 

新しいシートの作り方は、上の通り。

ショートカットキーの「shift+F11」は知っていると便利だけど、マウスでもそんなに手間では無いから、有用度は低いかな。

 

タブの上で右クリックをすると色々な操作ができる。

その中ではとりあえず以下のことができれば良いかと。

  • タブ名の変更
  • 色の変更
  • コピペ

 

コピーの時は「コピーを作成する」にチェックを入れる。

これにチェックをしないと、単にシートが移動するだけになる。

 

因みに「移動先ブック」という部分を別の場所にすると、違うExcelファイルにコピーすることができる。ブックはファイルと読み替えて大丈夫です。

基本情報を入力するシートは他のExcelファイルでも使ったりするので、もう一度作るのが面倒だなーと思ったりする。

そういう時に前のファイルからコピーしてくると楽ちん。

 

別の所に入力されている文字や数字を表示する

 

基本は「=(イコール)」を入力して、他のセルをクリックする。こうするとクリックしたセルを表示できる。表示形式が同じなら、小難しい方法よりシンプルな方法の方がオススメ。

同じシートの中だと「=E9」としか表示されないが、別のシートを参照すると「=児童氏名!E9」となる。"児童氏名"の部分が参照しているシート名で、”!”はつなぎの記号。

 

簡単なオートフィルのやり方は上の通り。オートフィルの解説は後述する。

 

みんな大好きvlookup

最近、Excel関数トーナメントで優勝していたり、Excel中級者の関門と言われたり、何かと話題に出るvlookup。慣れればそんなに難しい関数でも無い。でもその割に教員の仕事だと使い道が多いので、しっかり覚えておくと便利。

 

vlookupが親しめない大きな理由が、何をやっているか分かりにくい点がある。SUMとかAVERAGEとかはやっていることが分かりやすいけど、vlookupは文字列をいじくるタイプの関数なので、ちょっとなじみが薄い。 

とりあえずvlookupは「あの表の出席番号○番の人の名前を出して」という命令をしていると覚える。

 

 

範囲の設定が一番大切で、vlookupのお約束が「表の一番左側と検索値が合う所を探す」こと。今回は出席番号が検索値になるので、表を参照するときは出席番号が一番左側になるように範囲設定をしないといけない。

もし1番左側以外の列を検索値にしたい時は、index関数とmatch関数を組み合わせるとできる。それは後述する。

vlookupしかできない人は一番左に新しく検索用の列を作るのが良いかもしれない。

 

 

vlookupは検索値を表の中から見つけると、その右側を調べに行く。この場合、出席番号1番が指定されているので、その右側には「麻倉葉」「あさくらよう」がある。このどちらを表示するか選ぶのが、列番号の役割

 

検索の型については今は覚えなくても良いと思う。初学者向けに話しているし。

一応、分かりやすく書いてあるサイトはあるので、参考にリンクを貼っておきます。

VLOOKUP 関数:TRUE を使って完全一致|クリエアナブキのちょこテク

 

vlookupの仲間にHlookupという関数もいる。vlookupのvはvertical(垂直)で、検索値を垂直に探していくが、Hlookupは横に探していく。後は同じ仕組み。

ExcelのHLOOKUP関数の使い方|指定の行と同じ列にある値を返す|Office Hack

 

参照元を動かしたくない時

オートフィルは参照先が連動してくれて楽だけど、同じ表から参照する時などは表の範囲が変わってしまうと困ることがある。そんな時には絶対参照をする

絶対参照とは、オートフィルをしても連動せず、参照元を固定する方法だ。

 

例えば「A1:A10」は「A1からA10まで」を示す。

これを普通にオートフィルすると「A2:A11」「A3:A12」と一つずつズレてしまう。

 

そのため絶対参照のマークである「$」を参照元に付ける

こんな感じ→「$A$1:$A$10」

こうするとオートフィルをしても、ずーっと「A1からA10まで」でズレなくなる。

 

「$」を2つ付けているが、これは「A1」の「A」と「1」をそれぞれ固定しているから。

「A列を固定したいけど、数字の方は固定したくない」みたいな状況も時折出てくる。そういう時は「$A1」とすることで、Aだけ固定することができる。まぁ、これは応用編。

 

絶対参照をする時は素直に「$」を打ち込んでもいいが、対象の関数を選んでF4を押すことで簡単に付けることができる

因みに連続でF4を押すと、「A1」→「$A$1」→「A$1」→「$A1」と変わっていく。

 

(2021/5/6 現在 ここまで解説済み)

 

・=A1とかで良いんじゃね?(=すると、セルを引っ張れる。)

  ・選択範囲に名前をつけちゃう

 

 4 空白でエラーになった
 ・IF関数でエラーを消す(=””で判定する)

 ・IF関数でエラーを消す(ISBLANK関数で判定する)

 ・IFERROR関数使おうよ

 

 5 オートフィルする

 ・とりあえずオートフィルの説明

 ・オートフィルでずれるから、絶対参照の仕方

 ・オートフィルで書式を崩さない方法

 ・右下の十字に頼らないオートフィルのやり方

 

 6 名簿の上の学校名やらクラス名を出す

 ・=文字列の打ち方

 ・&でつなげる方法

 

 7 男女別名簿を作ろう

 ・新しいシートをコピーで作る(別のエクセルシートにもできるよ)

 ・どういう概念(答えは男1 女1)で検索すればいいか

 ・男1 女1をどこに作るか→セルの挿入 ショートカットキー

 ・男女別の番号のつけ方(countif関数)

 ・”片っぽだけ”に絶対参照をつけてオートフィル

 ・男1の列の作り方(=A1&B1みたいな)

 ・見た目上いらない列の隠し方(列や行の非表示方法と再表示)

 ・vlookup関数での、検索の仕方(検索値を”男”&A1とかにすること)

 ・vlookup関数での、検索の仕方(検索値の”男”をB1とかのセルにもできるよ)

 

 8 印刷書式を整える

 ・印刷範囲を設定する

 ・「表示」方法は改ページプレビューがおススメ(ページレイアウトでもいいよ)

  上でもできるけど、下(拡大縮小%の隣)でもできるよ

 ・改ページプレビューで青点線を動かして、ページ数を減らす

 ・余白設定の仕方

 ・印刷前に拡大縮小で1ページに収めるの設定

 ・「ページレイアウト」からの拡大縮小設定(ページに収める)

 ・タイトル行設定して、タイトルが変わらないように印刷する方法

 ・印刷のショートカット(control+P)の紹介

 

 9 メンテナンス

 ・シートの保護の仕方

 ・入力する部分だけ保護を外す方法

 

 10 長く使うための応用編

 ・出席番号と名前の間に「男1」とかの列をもってくると、来年度消しちゃう問題

 ・indexとmatch関数を使った引用の仕方

 

 ? おまけ

 ・画面が見にくい時は、右下の%で拡大縮小する(control+ホイールでもできるよ)

 ・いらないシートを隠す

 ・列や行を選択して、ダブルクリックでその行の一番長い文字まで拡大する

 ・複数行列を選択して、まとめて行列を同じ幅にできる

 ・shift+→でずーっと選択 control+→?で個別選択とか跳べる

 ・F2で入力は死んでも覚える

 ・セル内改行はAlt+Enter

 ・control+1で書式設定は死ぬほど便利

 ・ヘッダーとフッターに入力しとく

 ・自動的に問題を作ろう

音読の宿題は嫌い

保護者会のこと

先日、保護者会があった。

冬休みに向けた、ちょっとした保護者会だ。なんのためにあるかも分からない。保護者の方もまぁ忙しいので、そんなに集まりも良くない。それでもクラスの半数程度は来ていたの良い出席率だなと思っていた。

 

とりあえず最近のクラスの様子と今後の予定等についての連絡を行う。勤務校では3学期からランチョンマットを敷くことになったので、その話題を多めに話す。保護者からも大きさ等についてはちょこちょこと質問が出た。

 

ひとまず予想通りに進んでいる中で他に質問が無いか尋ねたところ、ある保護者の手が挙がった。

「うちの子が音読の宿題をやらない時があるのだが、宿題は毎日出されているのだろうか?」とのことであった。

 

音読の宿題とは

吉野の学級では、概ね3つの宿題が出ている。

 

1つ目は漢字だ。毎週水曜日くらいにテストを行うので、そこに向けて各自、練習をするようにしている。範囲は提示するが何を出すかは曖昧にしているので、子どもたちは自分たちで何となく計画を立てて練習している。テストの点数で確認すると、意外に定着率が良いので驚いている。

 

2つ目が計算ドリルだ。教科書に準拠した計算ドリルを購入しているので、復習のため宿題を出している。学習進度と微妙にずれることが多く、正直使いにくくなってきているのが現状だ。

 

そして3つ目が音読である。現在、国語などで学習している物語の単元を音読してくる宿題である。その他にも音読用のスキルなどを使い、色々な題材を読むようにしている。

件の音読の宿題とはこれのことである。

 

音読の宿題は嫌い

吉野は音読の宿題が嫌いだ。

理由はシンプルで、面倒くさいからだ。

 

正直、自分が小学生のときにも真っ先にサボった宿題が音読であった。やる条件がとにかく面倒くさい。

だらだらと音読すること自体も面倒で嫌いであったが、一番は「誰かに聞いてもらう」ということである。親を捕まえて、音読をしなくてはいけないのは非常に面倒くさい。ましてや今時の保護者であれば、遅くに帰ってくることも多く、それまで宿題がお預けという状況も非常に受け入れがたい。

 

しかもやっても達成感が少ないのだ。別に音読自体は本人としてはすらすらできるのだから、毎日宿題に出されても一定レベル以上には上達しない。もちろんちゃんと取り組めば、自分の不出来が見えるのだろうが、音読にそこまでの向上心は無い。毎日、作業ゲーになるなら、やらなくていいやと思うのは人の性だろう。

 

また教員になってからよく分かったが、音読の宿題はやっているかが分からない。漢字や計算は成果物が提出されるので、やってあるかどうかの確認ができるし、子供の習熟度や家庭での支援の様子も分かる。

しかし音読は情報が少なすぎる。音読カードなどを用いて、読んだらチェックする形式であると、読んだかどうかは全くわからない。保護者にサインをもらったりもするが、当然チェックしない保護者もいるので、やっているのかどうかの確認ができないのだ。

 

そもそも吉野は宿題の提出管理が非常に嫌いだ。半ば作業ゲーになるような宿題をやることに、何の意味があるのだろうか。そのため宿題をやってくる子を誉めはするが、未提出でも厳しい指導はしない。

 

子供は宿題をやってもやらなくてもバレない、担任もそれをうるさく言わない。

そんな状況なので、吉野の学級では音読の宿題はアンタッチャブルな領域になっているのだ。 

 

音声を録音すればよいのでは

前々からこの状況は分かっていたので、なんとかしたいなーとは思っていたが、優先度が低い事項だったので放置していた。

しかし今回の保護者会の件もあるので、少しテコ入れしてみようと思ったのだ。

 

音読の難点が物が残らない点である。確認や提出の観点もそうだが、子供にとってやった成果が残らないのが問題である。

じゃあ物が残れば解決するわけで、録音すればよいのでは?

 

勤務校ではGIGAスクールの関係で、一人一台タブレットが配付された。吉野の学級でも日々使っており、だんだん学習用具としての認識が高まってきたところだ。

このタブレットを持って帰って、録音すれば万事解決である。さっそく主任に相談してみた。

 

「ガンガン行こうぜ」

吉野と組んでいる学年主任はベテランの女性だ。ベテラン女性というと、なぜかICT音痴のレッテルをはられがちだが、主任はむしろ推進派である。研究主任というのも大きいだろうが、とにかく一緒に組んでいる主任が推進派だと非常にありがたい。

 

勤務校全体でもそうなのだが、主任はICTに強いわけではないが、「とにかくやってみる」という精神がすごい。吉野がスマートにICTの使おうと無駄に考えている中で、ガシガシ色々と使っていく。わざわざタブレットを使う必要があるかと言われる活動でも、とりあえず使ってみたりしている。この姿勢は、吉野は「泥臭く使う」と表現しているが、非常に学ぶべきことが多い。

 

そんな主任に音読の件を相談したところ、快諾が得られた。何なら「良いね!うちもしよう!」と言って、相談した次の日にはタブレットを持ち帰らせ、宿題をさせていた。決断力が凄まじい。

因みに吉野といえば、音読ファイルの提出先をどうするか悩んで、一歩遅れて宿題を出していた。iPadなので、Airdrop提出かなー。でも提出ファイルがすごーく多くなるのがやだなーとか、チームスで管理したいなーとか考えていた。まぁ、理想的な環境を考えて整えるのが、情報担当である吉野の使命なので(言い訳)

 

音読を「提出する」魔の時代

こうして吉野の学年では音読を「提出する」という、魔の時代が訪れた。提案しておいてなんだが、げに恐ろしい事態である。

ところで音読の提出だが、主任と吉野では実は少し違う意図をもっている。

 

主任は提出することで、子供の音読の様子を把握したり、宿題提出のチェックなどを目的としているようだ。要は今まで無形だったものが有形になるので、ちゃんと管理できるようになると考えている。

最初の保護者の話からも、この考えはある程度賛同できる。結局、保護者も我が子がちゃんと宿題をやっていて、それを先生が把握しているか(指導してくれるか)という点が気になっているからだ。

 

ただし吉野としては、録音の最大の目的は自分の音読の分析と考えている。今までは読むことに注力していたので、自分の音読の出来というのを子供が客観的に振り返ることが難しかった。それが録音された自分の音読を聞くことで、自分がどの程度スムーズに読めているか客観的に捉えることができる。

分析をすれば当然、出来不出来が分かるので音読に対する姿勢が自ずと変わってくる。何なら今後は他者の音読を聞くことさえできる。改めて考えても、学習の質が違うなぁ。

 

始めたばかりなので、録音の提出がどうなるかは分からないが、宿題の一つをとっても一人一台ってすげーパワーがあるなと感じるばかりである。

以上。

若手との違いを感じて初めて自分が中堅になったことを自覚する

運動会のメイン指導者は?

うちの学校では、今年ミニ運動会を行うことになった。

運動会といえば普段は全校で行うが、縮小したので今年は学年ごとに発表をする。

各学年1時間の持ち時間の中で表現(ダンス)と徒競走をする。

 

ミニ運動会は11月に行われる。

本当の運動会であったら、10月の半ばくらいに実施されるのだが、

各学年1時間使ってしまうと、午前中にすべての学年が終えることができない。

土曜授業の時間割だと間に合わないからね。

そのため4・5・6年と1・2・3年に分けて、2回の開催となった。

そんなわけで3年生はぼちぼち練習をしている時期なのだ。

 

うちの学年は、主任と私と後輩の3クラス編成になっている。

今回の運動会の計画と指導は、基本的に後輩が行うことになった。

先週くらいから練習が始まったが、指導の様子を見ていると、なかなか上手く行っているとは言い難い。

もちろんある程度ちゃんとできているのだが、時間に対して練習の効率が良くない。

そしてなぜか私にマイクが回されることが多い。

 

後輩が困ったりしたタイミングで、こちらがマイクをとり、子供へ指示を出す。

後輩の指示と一貫性をもたせつつ、話をするので内心ではもどかしさがある。

そんなもどかしさを抱えながら過ごしていたが、先日の練習ではいよいよ殆どの時間、私がマイクを持つことになった。

 

なぜこのような事態になっているのか。理由は明確だ。

指導の想定が杜撰なのだ。

ダンスの動きの細部や隊形移動の時の動線など、細かい部分の計画を練られていない。

大枠の相談は学年で行ったが、そこから先の指導が想定されていない。

だから指導がぼんやりとして、効率が悪い。

どうも後輩にとって、大枠で決めた以上の想定はしない(できない)ようだ。

 

私の「後輩」のイメージ

この想定の甘さというのは、私の中で意外であった。

なぜできないのかが疑問でもあった。

結論から言えば、後輩の経験が少ないからということになる。若さ故の未熟さである。

 

しかし私の中で未熟というのは、1、2年目程度の人のことで、今の後輩くらいの年数であれば、もう少しできるだろうと思い込んでいた。

 

というのも前任校での後輩たちが非常に優秀な人物だったからだ。

3年目の頃には自分と並ぶくらいに指導力があった。

だから私の中での後輩のイメージは「3年目くらいになると、こちらも概ね満足できる程度の指導力がつき、なんなら自分より優れた点が多分にある存在」になっていた。

 

でも若い人はやはり若いものだ

既にお分かりの通り、私の後輩に対するイメージは世間一般より遥かに優秀なイメージである。

当時の私の観測範囲内にそのような後輩ばかりであったのが、嬉しい問題であったわけだ。

 

現任校になり後輩たちを見ていると、そのイメージとは少し違っている。

指導の様子を見ていると甘さが目立つ面がある。先の運動会指導もその一つだ。

 

その話を同期にしてみたところ、「若い人だとそんなもんじゃない?」とのことであった。

同期の前の学校には、今の学校のように若い人が多かったらしい。

その経験から言うと、今の状態はそんなに不思議ではないようだ。

やはり私の認識のほうが誤っているのだろう。

 

私はどうやって成長したか

後輩の話をしてきたが、省みると自分がどうだったのであろう。

私が3年目の頃は、今の後輩と同じような感じであっただろうか。

おそらく半分は正解で、半分は不正解だ。

 

例えば運動会の指導に関して、指導の未熟さはあっただろう。

しかし現状と同じような問題は抱えていなかった。

なぜなら私は自分の未熟さを、膨大な時間をかけることでカバーしていたからだ。

 

私の3、4年目の頃というのは、最も退勤時間の遅かった時期だ。

自分がやりたいことがたくさんあり、それを実現するために湯水のように時間を使った。

褒められた方法では無い。ただ当時の実践を今また磨き上げて再現しているので、自分の財産にはなっている。

 

今の後輩の様子を見ていると、あまり時間をかけているところは見られない。

みんな、わりとスマートに仕事をこなしている感じがする。

 

時間と密度と意識の高さ

時間が長ければ成長できるかといえば、そんなことない。

ツイッターなどで、そんなことを言えば大いに叩かれるだろう。むしろ試したいくらいだ。

 

成長には経験値が必要だ。

経験値の簡単な算出方法はこんな感じだろう

経験値 = 学習密度 ✕ 時間

 

私は自分が成長するために膨大な時間をかけることで経験値を得ていた。それが長時間労働につながっていたわけで、昨今の情勢から言えば、学習密度を上げるべきなのだろう。

 

では学習密度を上げるにはどうしたら良いだろうか。

様々な方法があるが、一つだけ共通しているのは、自分の学習への感度を上げる必要があるということだ。

つまり自分が学びへの意識を高くもたなくてはいけない。

 

これもやはりネット界隈にいる人には至上の命題のようで、非常に学習への意識が高い人が多い。

しかし万人にそれを求めるのはどうだろうか。

 

日々、それだけの感度を保つことができるだろうか。

私に関してはNoだ。そんな状態では疲れてしまう。

だからこそ私は安易な時間をかける方法を選んだのだろう。

 

時間と成長線

経験値は学習密度と時間の乗算で出せるだろうと言ったが、私は学習密度は定数に近い変数ではないかと思っている。

もちろん学ぶ意識を高くもてば、ぐぐっと上がる変数ではあるが、平常時では定数的であるように思う。

 

となれば、やはり成長するにはある程度の時間が必要になるだろう。

時間をかければある程度の成長はできる。

 

成長するためには、時間をかければ良いわけではないが、時間をかけなければいけないところもあるだろう。

そして後輩たちは、それだけの時間をかけているだろうか。私には疑問に思える。

 

あとは流れでお願いします

私は初任の時に1学年6学級の学年の担任をしていたことがある。

 

当時、私は2組だった。

そのため6組との間には3クラス分もあり、全く様子が分からないという状況であった。

放課後に6組の子が暴れまわって対応に追われていたという話を聞いたりして、驚いたものだ。

 

6クラスもあると学年で動くのはとても難しい。

なので結局1から3組と4から6組という風に分かれて活動することが多かった。

ちなみに1組の担任が非常に気難しい人だったので、一緒に何か活動をするときは非常に嫌な気分になったものだ。

 

次の年は5クラスであった。

私は4組になった。これ以降、私は4組になる率が高く「吉野さんは4組」というイメージが付いたが、またそれは別の話だ。

5クラスだとクラスを分割をするのが難しいため、全体で動くことが多くなる。

そうなると学年会を行い、今後の方針をしっかり立てることが多くなった。

 

以降、5クラスだったり4クラスだったりしながら過ごしてきた。

4年目くらいで初めて4クラスになったが、職員室で学年の人全員が自分の机と接している位置に座っており、感動したものだ。

 

そんな私であったが、現在は3クラス編成の学年にいる。

非常に感動した。こんなにも機動力が速くなるものかと。

 

以前、一緒に組んだ人から「3クラスが一番いいよー」と言われたが、なるほどこれは納得できる。

確かに様々な面を考えるに3クラスというのは都合が良さそうである。

そして根本的に児童の人数が少ないので楽である。

学年で集めた時に「あれ?これしかいないのか」と思った。

150人、180人といると、子供の動かし方を考えるだけでも面倒なのだ。

 

さてそんな理想的なクラス数になったが、少し違和感を覚えている。

というのも学年会が殆ど開かれないのだ。打ち合わせは「流れ」で行われる。

 

そして3人揃っていない時に決定することもある。

決定事項自体に問題は無い。おそらく3人揃っていても、同じ決定になっただろう。

しかし情報共有が上手くいっていない。2人が決定したことが何となくそのまま流れ、聞いていなかった人が「おや?」となることがしばしばある。

まぁ「聞いていなかった人が」と書いたが、大体は私なのだ。

 

前述の通り、私は大規模校で過ごしてきた。

そのため学年で何か決める時は学年会が開かれたし、いなければその後必ず情報共有がされた。

ところが、どうも今の場所ではそのあたりがなあなあになっている気がする。

 

が、不満があるわけでもない。おそらく今の場所のスタイルはこうなのだろう。

ならば、自分は必要な部分を補足し、舵取りをしていくだけだ。

先は長い。

指導案を作る

先日、管理職の授業観察があったので、指導案を作った。

授業観察の時にはいつも指導案を作っている。

今回は異動初の観察だったので多少緊張していたこともあり、少し細かく作った。

 

指導案とは言ったが、正確には略案である。

めあてと本時の流れだけが書いてある、ごくごく簡単なものだ。

 

授業観察や公開の時には、この略案をよく作る。普段の授業でも時折作ることがある。

自分の感覚としては、とても力を入れるほどではないが、いつもよりしっかりやりたい授業の時や少し緊張する授業の時に作成をしている。

つまり「あまり外したくない授業」の時だ。

 

とはいえ、最近はこの略案もあまり作っていない。

一番多く作っていたのは、2,3年前の頃だ。あの頃は熱心に色々な授業を試していた。

教材開発のための実践もたくさんやっていた頃なので、自然と増えていった。

 

略案を作っておくと便利なことがある。

前述の通り、この略案を作る時は自分の中で「外したくない授業」の時なので、逆を言えば何か特別なことをしている時に作っていることが多い。

そのため自分の珍妙な実践の宝庫になっているのだ。

 

少し紹介してみよう。

光村の国語の教科書には季節の教材がある。「春の言葉」とかそんな感じの単元だ。

 

私はこの教材をどう扱ったらよいか、いつも悩んでいた。

指導書に授業の流れが書いてあるものの、その通りに行っても上手くいく気がしない。

今の自分ならば、指導書の流れ通りでもある程度はできるだろう。しかし多分ある程度だ。

 

悩んだ私が出した結論は、この単元では俳句を作ることにした。

季節の言葉を使って、なおかつ言語活動ができるものといったら俳句だ。以来、私はこの教材では俳句を作っている。

 

そして季節教材ということは、4回は似たような授業ができる。

そこでこの教材群を帯単元として設定することにした。

年間で4回も俳句を作ると年度末にはそれなりの作品になるから面白い。

 

こういった記録が略案として残っているのだ。

たまに見返すと自分でも忘れていた面白い実践もしている。

あと同僚に資料としてすぐに実践内容を紹介できるから便利でもある。

 

略案はほどほど作るが、しっかりした指導案を作ったのは昨年の研究授業が最後だ。

校内研究なので学年で作成した。自分だけでしっかりとして指導案を作ったのは、もう記憶にも残っていない。

 

Twitterを覗いていると指導案の話はたまに出てくる。

時間ばかりがかかって無駄だという話題が多い。

その分の時間を、内容を充実させることに使うべきという意見もある。

 

確かに指導案の作成にはある程度時間がかかる。

作成の最中に様々な手が入り、内容が変わる時もしばしばある。

しかし私はそれが無駄だと思わない。

 

指導案には書く内容に無駄は無い。

指導上、必要なこと以外は書かないからだ。

指導案の作成だけで考えるなら、確かに時間がかかり、無駄に思える。

しかし指導案を作成している時というのは、授業を練り上げている時間でもある。

むしろ授業を練り上げている時間があるのに、それが指導案に反映されない方がおかしいのだ。

 

指導案を作るには、授業を練り上げる。

授業を練り上げたなら、指導案が修正される。

指導案作りとはそういう物ではないか。

調整で帰る

今日は調整を使って早めに帰ってみた。

 

他の職種でもあるのだろうが、もしかしたらこの職だけのことかもしれないので、一応説明をしておこう。

調整とは勤務時間を前にずらした分、後ろの定時が早くなるというものだ。

 

今日は土曜日にやるはずであったミニ運動会のようなものがあった。

本来は土曜日にやる予定だったが、台風接近による大雨で中止になった。

10月10日に雨が降るなんて、観測史上でも珍しいのではないだろうか。

 

そのため土曜の運動会は中止。月曜日に延期となった。

しかし延期となったからとはいえ、月曜の準備が土曜日にできるわけではない。

日曜日に出勤するわけにもいかない。

ということで、月曜の朝に招集がかけられたのだ。

 

普段の勤務開始は8時15分。

可能であれば、1時間早く来てほしいとのことだったので、今日は7時15分から勤務。

私はいつも割と早い電車で行くので、体感としては少し早めに出るくらいの感覚であった。

 

1時間の調整なので、勤務終了は15時45分。

こうなると休憩時間がどこになるかが甚だ疑問が残るが、今回は深く考えないとする。

今度、副に聞いてみようか。答えにくいだろうなぁ。

 

そんなわけでいつもより早く帰ることにしたが、なかなか帰りにくいものだ。

調整が効くからと言って、別に仕事の量が減るわけではない。前倒しでできているわけでもない。

この職業の一番辛いところは、仕事の終わりが無いことだ。探そうと思えば永遠に仕事ができてしまう。

周りも仕事をしている中だと、「何か漏れがないかな…?」などと不安になって、結局帰れなかったりする。

 

が、今日は調整があると聞いたときから、「せっかくなら調整で帰ってみよう!」と決めていたので、覚悟をもって帰ってみた。

職員室を抜ける瞬間が一番緊張した。

 

実際に帰ってみると、実は数人同じように帰っている人がいたようで、駅で会うことができた。

なんだ大丈夫じゃないかと思いつつ、一緒に帰る。

 

最寄り駅まで来ると、もう緊張感のようなものもなく、早く帰れたことの喜びしか無い。

この時間だと学生が多いことに改めて気がつく。

当たり前だが、私と彼らは生活時間が随分違うのだなと思わされる。

 

最寄り駅構内で興味深いものを見た。

ベンチで座っているおじさんたちである。皆、スーツを来てのんびりと座っている。

彼らも勤務が終わったのだろうか。誰かと待ち合わせている感じではない。

なぜみんな、ベンチに座っているのだろうか。社会はわからないことばかりだ。

 

調整で帰った夕方はいつもと違う風景が見られる。

アフター5をじっくりと楽しむのも良いものだ。

タブレット山脈

タブレットはどうも苦手だ。

 

便利なのは分かっている。買ったら使うであろうことも分かっている。しかしどうしても買う気にはなれない。

これは私の勝手な感性であるが、タブレットは情報を見るタイプのデバイスだと思っている。作ることには向いていない。

逆に何かを作るデバイスはパソコンだ。そのため文章を書くことが多かった私はパソコンをずっと使い続けてきた。

 

タブレットにパソコン、これらにもう一つ並ぶデバイスといえばスマホだ。

携帯電話の延長として現れたが、もはやその領域は超えている。

 

私の感覚では、スマホタブレットは使い方がとても被っている感じがするのだ。

最近、ipadを触り始めたため、その感覚は払拭され始めたが、それでも「スマホがあるなら、タブレットは…」という思いが拭えない。

 

さて、それとは別に私には悩みがあった。

それは「町中でふと思ったことを書き留めるデバイスがほしい」ということだ。

カフェなどで何となく駄文を書きたくなった時に受け皿になってくれるデバイスだ。

 

いつも持ち歩いているスマホでいいのではないかと思われるが、スマホではいけない。

私の思考速度に対して、フリック入力が遅すぎるのだ。

 

フリック入力ではキーボードほど速度が出ない。

最近の大学生は論文をフリック入力で済ませる人もいると聞いたときには非常に驚いだものだ。よくもまぁそんな不便な方法で文章を書けるものだと。

とにもかくにも、キーボードがないスマホはだめだ。

 

ここでいよいよタブレットの購入が見え始めた。

タブレットには一応、キーボードらしき機能がある。あれを使えば、自分が思うような速度で文章を書けるかもしれない。スマホにも同様の機能があるのは知っているが、スマホでは小さすぎる。

 

理想を言えば、ポメラのようなものが良いのだ。

キーボードが付いていて、小さくて、文章が打てるもの。

しかしポメラを買うならば、タブレットにするであろう。

 

ここで一つの考えが私をよぎる。

スマホポメラのようにしてしまえばよいのではないか?

 

じゃあキーボードは?

Bluetoothキーボードがあるぞ。

スマホを支えられるタイプのBluetoothキーボードがあれば問題解決である。

そこまで思い至ったところで、家電量販店に足を向け、目当ての商品を探し当てる。

 

実はこの文章もスマホとキーボードで書かれているものだ。

キーボードの重みがやや荷物の感を強くしているが、私が思っていた以上に使い勝手は良い。

しばらくはこのスタイルで文章を書こうと思う。

 

タブレットの購入は遠い。

ずるくなった私

ずるくなった気がする。

それが年齢のせいなのか。経験のせいなのか。

どちらかは分からないが、とにかくずるくなった気がする。

 

或いは自分のしたことがずるいと言われるものなのかすら定かではない。

もしかしたら適切なのかもしれない。

しかし自分の中で、その自分の行動を形容するならばまっさきに「ずるい」という言葉が浮かんだ。

だからやっぱり自分はずるくなったのだと思う。

 

先日、ある子が私のところに話にきた。

聞いてみると、同じクラスのAさんが音楽の時間に真面目に授業を受けていなかったとのことであった。

 

Aさんといえばうちのクラスでは、なかなかパンチが効いた子である。

周りから少し外れた行動をすることもある。

音楽の時間の話を聞いても、正直私には「あぁ、そういう行動をとるのはあり得るだろうな」くらいにしか思わなかった。

 

翻って、報告に来た子はとても真面目な性格の子である。

Aさんの行動を見て、これはよろしくないと思い、私のところに来たのであろう。

 

さてどうしたものか。迷うところである。

 

Aさんの行動を見れば、周囲から完全に外れている。

これを叱りつけるのはごく簡単だ。Aさんを呼んできて、今後そのような行動をとらないことと話をすればよい。

報告に来た子はおそらく納得するだろう。しかし、Aさんの行動が今後変容するかといえば、可能性は低い。

つまり言ったところで徒労になるのが、目に見えている。

むしろ私とAさんの距離がやや遠くなる分、損のほうが大きい。

 

かといって、「彼は特別だからいい」ということも言えない。

教師は子供の前で不公平であってはいけない。

個に応じた対応はする。しかし不公平感があってはいけない。

不公平に対応するということは、教師の信頼を落とす行為だ。

 

普通の基準に照らせば、Aさんは叱られて然るべきである。

ただそれはAさんには意味がない。

Aさんに応じた叱り方をしなくてはならず、しかしそれでは報告に来た子が納得しないかもしれない。

 

さて、どうしてものか。

 

昔はこのジレンマにしばしば悩まされた。

いや、悩まされているという意味では今も同じだ。

結局、どちらも消化不良となるような中途半端な指導をしていた気がする。

 

結局、考えた末に私が出した結論はこうだ。

「あなたは、Aさんにどうしてほしいの?」

 

その子は少し考えた後に、

「やっぱりちゃんと授業を受けたほうがいい」と言った。

なるほど。それは確かだ。

 

そこで普段のAさんの様子を改めて共有してみた。

Aさんなりに真面目にやっているが、Aさんの特性上やはり周囲と同じレベルで行うのは難しいと。

その子もAさんの普段の様子を思い出すと、私の話に納得していた。

 

私自身もAさんの態度は良いとは思っていない。

しかし現実として難しい部分はある。

今回の件はAさんと話すが、もう少し長い目でも見てほしいと伝えた。

色々と話して、その子は納得して去っていった。

 

その後、Aさんと話し、今回の件のことを伝えた。

やはり本人なりには、それなりにやっていたつもりではあった。

周囲の目とのギャップは常々伝えていた。

それを意識できないと、おそらく今後Aさん自身が不利益を被ることになると思うからだ。

1学期から話したこともあり、少しずつ変容しているところはある。

先は長いが、道は続いていそうである。

 

さて一連の指導を終えて、やはり自分はずるかったなと思う。

結局のところ、不公平を上手く言って、相手に飲ませたのである。

 

ではこれが間違っていたかと思えば、そうは思わない。

クラスという共同体を運営する上で、ある程度適切な指導であったと思っている。

 

昔は子供から話を聞いたら、全て自分が関わり解決しなければいけないと思っていた。

最近では、そんな強迫観念めいたものはどこかに置いてきてしまった。

 

大切なのは子供達の納得感だ。

同じクラスで関係性を作るのは、私ではない。

彼らが相互に作っていかなければいけない。

 

相互に作るのであれば、相手を理解しなければいけない。

私がすべきことは、相互理解を促すことだ。問題を積極的に解決することではない。

 

後日、その子にAさんの様子を聞いてみた。

「この前は○○していたから、いいんじゃないかな?」とのこと。

多分これ以上は聞く必要は無いと思う。

バズったツイートはどれくらいで収束するのか調べてみた

1 はじめに

少し前に自分のツイートがバズった。

 

街を歩いていて何気なく撮った写真だ。

「お、ちょっと面白いな」くらいの気分でツイートしたので、まさかこんなにRTされるとは思っていないかった。

数日間は「通知が止まらない」状態になり、自分のリプライメッセージの部分は使い物にならなくなった。

貴重な経験だったので、まぁ良かったと思っている。

 

さて通知が止まらない中で、逆に思ったのが「いつ通知が止まるのだろう」ということだった。

RTがRTを呼び、どんどん広がっているのだが、全Twitter使用者に広がるわけでもないだろうし、この流れはいつ終わるのだろうか。

折角なので少し調べてみることにした。

 

2 方法

今回はとりあえず「何日間くらい」ツイートが拡散されていくのかというのに焦点を当てて調べてみることにする。

そのためバズツイートのリプに以下のアンケートをぶら下げておき、バズツイートをいつ見たか調査をおこなう。

 

 

因みに予想はしていたが、正直にアンケートに答えない人もたくさんいた。

インターネットでは当たり前というか、うん。笑える。

 

アンケート終了日の時のデータをそのまま使うと正しい結果が得られない。

そのためアンケート始めた日から日が切り替わる時にスクリーンショットを取り、その日の増加数を正確に計算することにした。

吉野は割と早く寝るタイプの人間のため、研究のために夜更しをしたのはちょっと辛かった。

 

3 結果

7月27日 ・・・6369人 / 42.7%

7月28日 ・・・6924人 / 46.4%

7月29日 ・・・ 845人 /  5.7%

7月30日 ・・・ 334人 /  2.2%

7月31日 ・・・ 176人 /  1.2%

8月 1日 ・・・  85人 /  0.6%

8月 2日 ・・・ 126人 /  0.8%

8月 3日 ・・・  70人 /  0.5%

 

4 考察

 ツイート自体は7月26日のお昼にしている。

実際に広がり始めたのが夜くらいだ。

アンケートの数字を見ると7月28日をピークに、ガクッと減っている。

 

つまりバズりは大体2~3日間で終わることになる

しかもだんだん少なくなっていくわけではなく、一気に終わるようだ。

このあたりで拡散すべき界隈に全て行きわたるからであろうか?

 

ただ今回は4万RTくらいだったので、RT数によって収束具合は変わるかもしれない。

もっと息の長いバズもあるはず。

となると、当たり前のようだがRT数と収束具合に相関が考えられるかもしれない。

 

5 結論

4万くらいのバズツイートは大体2~3日で終わる。

ただしバズの規模によって、収束スピードは変わると考えられる。

 

もしかしたらインプレッションの数を調べていけば、もっと正確なことが分かったかもしれない。

次回はそちらと合わせて考えてみたい。

 

6 おまけ

最終的に結構バズったのだが、下のツイートしている時点では1万も行かないくらいだったんだよね。

でも最後の結果だけを見て「プチバズ」と書いてると思うと、すごいイキった感じに見えて笑える。

学級目標を作るのが嫌いなので、思いっきりシステマティックにした。

学級目標を作るのが嫌いだ

なぜならすぐに形骸化してしまうからだ。

 

目標を作ったはいいが、何も意味をなさない。

もちろんちゃんと運用しない自分が悪いのだが、とにかく形骸化しがちなので学級目標を作るのは嫌いだ。

ある時には学級目標を作らなかったこともあったが、全く問題なく運営できたのでやはり形骸化するくらいなら必要無いのだろう。

 

必要性は?

実際に上手い運用ができたことが無いので、学級目標の必要性自体がよく分からない。

強いて言うならば、前述の通り作らなくても普通に運営できた経験があるので、必要かと言われたら答えは「No」なのだろう。

 

ずっとそのような感じで学級経営をしてきたが、最近少し思いなおすところが出てきた。

「学級集団」という言葉がある通り、クラスは集団で動く。

学習自体は個で成り立つので、究極的には集団である必要も無いのだが、「集団」を形成することで個の学習効率も良くなり、全体としてのレベルを引き上げることが分かった。

 

要はクラス全員で協力すると、全体的に上手くいくということだ。

ならば学級経営において「集団作り」が大切になってくることは確かだろう。

 

では集団を形成するにはどうするか。

集団内での信頼関係づくりなどもそうだが、個人が集団を意識するには、集団としての目標をもたせることが手っ取り早い

となれば学級目標を作る必要が出てくる。

 

自分の中でぐるりと論理が一巡してきたが、集団作りのために学級目標を作る必要がありそうだ。

しかし目標は往々にして形骸化する。

 

それならば形骸化しないように、思いっきりシステマティックに取り組むことにする。

 

なぜ形骸化するのか

学級目標はなぜ形骸化するのか。

それは実際に運用しようとしないからだ。

 

目標を作ったはいいが、目標の振り返りをしない。作りっぱなし

そのために形骸化していき、学級目標の模造紙はいつしか壁に溶け込んだ模様になる。

 

理由のもう一つは、目標が曖昧過ぎるからだ。

だいたい「みんなで仲良く、なんでも全力で取り組む、元気なクラス」のような文言に落ち着いているケースを多く見るが、これは目標が曖昧過ぎる。

このような目標は何ら役に立たない。

 

内容は曖昧だし、振り返りもしない。

それは形骸化して当たり前だろう。

ならばこの逆を行けばいい。

 

概要

形骸化しない学級目標を作るために、目標を曖昧にせず、常に振り返れるようなシステムにする必要がある。

ということで、今年は試験的に以下のように取り組んでみた。

 

  1. 「どういうクラスにしたいか」「良いクラスとはどのようなクラスか」と子供に投げかけ、いくつか条件(目標)をピックアップする。目標を8個に絞る。
  2. 目標一つ一つに対して、その目標はどのような行動で達成できるかを更に集める。(マンダラチャート化)
  3. 8つの目標についてアンケートを取り、現状の確認と評価をする。
  4. 現状をもとに、足りない部分を補うべく、日直が毎日目標を立てる。
  5. その日の最後に振り返りをして達成できていたら、マンダラチャートの該当部分にシールを貼る。
  6. 頃合いを見て、再びアンケートを取り、8つの目標が達成しているか評価する。
  7. 以下、4~6を繰り返す。

 

各項の詳細

1 目標のピックアップ

クラス目標を作るので、まず目標を集める。

子供に「どのようなクラスにしたいか」「良いクラスとはどのようなクラスか」と投げかけておき、自分の理想のクラスの状態について考えさせる。

 

その後付箋を用い、目標にしたい文言を全体から集めて、KJ法で分類を行う。

swingroot.com

 

この時点で概ね6~8種類くらいの目標に分類する。

深ーく掘り下げなくても、「みんな仲が良い」とか「集中して勉強できる」とかそんな文言に落ち着いていく。

クラスの実態次第だが、あまりまとめ過ぎない方がいい。

全員で目標となる文言を決めても良かったが、わりと煩雑だったので、分類した時点で分類の内容に一番近い付箋の文言を取り入れた

 

2 マンダラチャート化

目標が決まったが「男女仲が良い」など曖昧なままなので、これを達成する行動基準を考える。

つまりマンダラチャート化する

u-note.me

 

これもたくさん集めるのが大変なので、クラスに目標を掲示しておき、目標を達成する行動基準を付箋で集める。

授業時間は少し使ったが、それ以外は1週間程度目標だけを掲示しておき、思いついたら付箋に書いて貼り付けるという方式をとった

 

その後、教師がある程度まとめてクラス全員で検証し、マンダラチャートを完成させた。

 

3 目標評価アンケート

次に事前のアンケートを行った。

8つの目標(今回のクラスの場合)に対して、現状どの程度達成されていると思うか、0~5の6段階でアンケートを取った。

0が全く達成できていないで、5がバッチリOKという感じだ。

 

アンケートを集計し、8つの目標について平均評価を出し、レーダーチャートにした

ja.wikipedia.org

 

レーダーチャートにすると、現在のクラスの状態が視覚化されるので、課題が明確になる。

ウチのクラスの場合は学習系の目標が低かったので、学習に対して課題感があることが分かった

 

子供としても現状が視覚化され課題がハッキリするとやる気が出るようで、授業態度が以前よりも良くなった。すげー。

 

4 毎日目標

アンケートを取るだけでも意識が変わることは分かったが、今回はストイックかつシステマティックに学級目標を運用したかったので、毎日目標を立てることにした。

 

翌日の日直を帰りに残し、翌日の目標を立てさせる。

目標は当日の朝の会で発表する。(黒板には既に掲示されている)

 

後述するが、マンダラチャートの達成した部分にはシールを貼っている。

そのためアンケートのレーダーチャートの様子とマンダラチャートのシールの状態、それから最近のクラスの様子を見て、翌日の目標を考える。

マンダラチャートの文言をそのまま使うこともあったし、少し変えて運用しやすい言葉にしていることもあった。

 

1学期の段階だと学習系に課題が見られたので、「授業前に準備をする」とか「姿勢をよくして話を聞く」とか、そういう目標が多かった。

しかし子供同士でいさかいがあった日の翌日には「人に優しく声をかける」とか、クラスの実際の様子に基づいて目標が立てられていたので、機械的でなく実態に即して運用されていたように思えた。

 

2学期以降は毎日の目標を五七五にする予定だ。

なんでって?面白いから

 

5 毎日振り返り

毎日目標は帰りの会の時に、振り返りを行う。

その日の目標を「よくできた」「できた」「もう少し」の3段階で挙手をさせ、クラス全員で評価する。

 

日直はその日の目標について自分なりの評価と理由を述べる。

最後に教員が「とてもよくできた(花丸)」「よくできた(二重丸)」「できた(丸)」「もう少し(△)」で評価と講評をする。

 

全体の評価に合わせて、掲示しているマンダラチャートの達成した部分にシールをつけていく

同じ目標の部分でも構わないと話してはいるが、現状はシールの部分は被っていない。

2学期からも続けていくと、日数的にどこかしら被ると思う。

 

6 再評価アンケート

1学期の最後にまたアンケートを行い、レーダーを作る予定。

というのも実践の最中なので、まだ1学期終わりのアンケートは実施していない。

 

前回のレーダーと比較して、自分たちが伸びた部分、悪くなった部分、変わらない部分を見つめなおすようにする

 

運用の実際と終わりに

今年の学級目標はこんな感じで運用している。

現在のところ概ね上手く進んでいるが、新しいレーダーを出した時に子供がどう反応するかが見物だ。

 

レーダーの手法だが、確か理想教育財団?の講演を聞きに行った時にやっていた手法で、「毎日目標」と「マンダラチャート」はやったことがあったので、組み合わせて思いっきりシステマティックにしてみた。

 

今後のどのようになっていくかは分からない。

もしかしたら十分に達成した目標は殿堂入り的な感じになるかもしれないし。

まだまだ研究途中である。

 

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