若い頃、自分がやりたいことをやりたい放題やっていた時期があった。
その中の一つがこの宿題だ。
昔、「一週間分の宿題量にあたるものを何か自由に行い、一週間後に提出すること」という宿題を出したら、毎日運動して記録する子や立派な工作を作る子、日記を書く子、珍妙な研究をしてくる子とバラエティに富んでめちゃくちゃ面白かったので、もう一度やりたいし、宿題ってそんなもんだと思ってる。
— よしの とおる (@tohruyoshino) 2020年5月23日
面白い宿題をやろう
当時の吉野のクラスは漢字の進行がやや速く、7月に入るころには漢字ドリルや計算ドリルなどのよ出される宿題類がすべて完了していた。
宿題が無ければ無いでいいやとは思っていたが、周りのクラスとの歩調合せであったり、何となくもったいない感じがあったので、何か面白い宿題を出そうと考えていた。
そこで生まれたのがこの宿題である。
「一週間分の宿題量にあたるものを何か自由に行い、一週間後に提出すること」
これだけ言われても子供はイマイチぴんと来ていなかったので、確か「1週間でできる自由研究」と伝えた気がする。
内容としては、何をしても良い。
普通に何か学習に取り組んでも良いし、ゲームでもいいし、好きなことをやってきてと伝えた。
ただ体験・経験・工作などの宿題の場合は、得られた知見や学びを書面で提出することという条件も付けた。
とにかく「好きなことを1週間やって、自分の中で学びになったことをまとめておいで」ということである。
宿題の意図
この宿題の教育的な意図は全くない。
宿題やるなら好きなことやった方が面白いよなという感覚で出している。
これもどこぞの人体実験に当たるのですかね。ふふふ。
1週間の中で宿題の管理も全くしていない。月曜日に出したので翌週の月曜日に持ってきてねという感じで出したはずだ。
教育的な意図は無いが、この発想自体は吉野の趣味や感覚から生まれている。
というのも吉野は研究が好きなのである。学会に論文を出して発表したりもしているくらい好きだ。
なので子供にも何か好きに研究をさせたかったので、こんな宿題が出来上がった。
完成形
1週間宿題だが途中の経過管理は全くしなかった。
管理は全くしなかったが、子供たちはそれぞれちゃんと進めていたようで、途中経過を教えてくれる子もいた。
この期間中に違う用件で保護者に電話をしたことがあったが、「例の宿題でめっちゃデカイ工作してますよ~」なんてのも聞けた。子供達なりにコンスタントに取り組んでいたようだ。
翌月曜日。提出日である。
バラエティに富んでいてすごい。収拾がつかない。収拾する気も無いけど。
思い出せる限りでは、
- 毎日運動に取り組み記録を伸ばす子
- めっちゃ漢字の練習をする子
- どでかい工作をしてくる子
- 絵日記を書く子
- 料理を何回もして、レシピと感想を書く子
- 実際の野球選手とパワプロデータを比べる子
- 何枚もの折り紙で大きな鞠を作る子
などである。
確か理科っぽい研究をしている子もいたが、具体的に何をしていたかは忘れてしまった。
実に面白い。
こちらが想像していたものを遥かに超えて色々とやってきた。
皆で見合った後に吉野がコメントをつけて返却したが、コメントを書くのも非常に楽しかった覚えがある。
出してみて
軽い気持ちで出した宿題であったが、想像以上に面白い結果に終わった。
子供のやっていて楽しかったようで、「またあるならやりたい」と言っていた。
吉野も子供も楽しいハッピーな宿題であった。
もう少しこの宿題を振り返ってみると以下のようになる。
まず1週間という期限が良かったと思う。
1か月とかだと長くてモチベーションを保つのが難しいし、3日だとやや短い。
1週間だと題材を悩んで、準備して、実行するというプロセスの単位時間としてちょうど良いように感じた。
次に題材を自由にしたこと。
実験、工作等やり方はすべて任せた。内容に関してもすべてフリーにした。
初めての試みだったので、制限をかけないことで子供のやる気を引き出せたのだろう。
もし学習系に縛っていたら、ここまでのやる気は出せなかったと思う。
逆に継続してこの課題を取り組むなら、「国語に関すること」などを条件の一つとして加えると、より効率的な学びができる気がする。
後は子供に知見を書かせたこと。
流石にやりっぱなしだと良くないなと思って、書面などで知見や学びを書かせたが、子供にとっても自分の学習を振り返る良い機会になっていた。
運動結果を記録した子などは、「1週間でも伸びる」とか「このペースなら、これくらい頑張れば目標達成できる」など、自分のデータを振り返りながら分析もしていた。
これを継続すると、生活とか総合でよく言われる学びのスパイラルが出来上がるはず。
終わりに
思い出したら、またやってみたくなってきたな。
個人的な感想としては、子供は学ぶことは嫌いではないということを改めて実感した。
大人もそうだが、好きなことをやっていいよと言われれば、継続してやりたがるのだろう。
ただ学びの質を上げる方法は教えてあげないといけない。
今回は振り返りをすることは条件にしたが、さらに学びの質を上げるなら、何らかのフォーマットを用意したほうが良い。
いわゆるポートフォリオになるものだ。
枠は決まっているけど、内容はフリー。
それが一番良い形になるだろうし、そもそも世の中の研究はそうなっている。
今回は1週間で取り組んだが、今度やる時は2週間でやってみたい。
1週間で中間報告。それを受けて2周目をどうするか決めて実施する。
2週間くらいだと期間的にもちょうど良くなる気がする。
最後に宿題と言えば、副校長と以前話したことが印象的に残っている。
副校長が担任だった頃、同僚と話したことで、同僚が言うには
「”子供に宿題を出しなさい”と言うが、我々は『子供が出したくなる宿題』を出しているだろうか」
とのことだ。
宿題に関しての議論は色々とあるが、我々教員にも大きな宿題が課されているようだ。